佐喜浜小学校にてプログラミング公開授業を実施しました!
< プログラミング授業 実践報告 >
室戸市立佐喜浜小学校にて、makeblock社のプログラミング教材「mBot」を利用した、プログラミング公開授業を実施しましたので、授業内容や成果について報告します。
これからプログラミング教育に取り掛かろうとされる多くの小学校の参考となりましたら幸いです。
授業実施校
高知県の中心から東へ車で移動。
約2時間半の位置にある、漁師町として広がる海を望む小学校。
それが今回のプログラミング授業の舞台「佐喜浜小学校」です。
この地域の人口は1,510人(2015年調べ)、人口の過疎化が進み子供たちの人数も減り続け学校自体の維持が難しくなってきている「課題先進地域」です。
こうした課題の差し迫っている学校は高知県にも非常に多く点在しています。
その昔は1学年に1クラスの30名ずつあった佐喜浜小学校の全校生徒数は現在、
1・2年生 6名
3・4年生 10名
5・6年生 16名
の、合計21名。
少なくはなりましたが、校長先生をはじめ、新しい様々なことにチャレンジを続け、子供たちに寄り添う熱意ある先生方の集まっている小学校です。
今回の授業のきっかけも校長先生きってのお願いにより、メディアも巻き込んだ生徒にとって刺激的な授業となりました。
今回の学習指導略案
授業日時: 令和元年9月5日(木)1・2校時
対象学年: 3・4年生
授業区分: 総合的な学習の時間
主な指導: スターティングPCスクール 土居郁男
サポート:
NPO法人ひとつむぎ
単元目標:
2人1組で協力しながら、Scratchライクなプログラミングアプリとロボットを利用して、プログラミングの初歩的な課題である「順次処理」「条件分岐」などの考え方を学習。及び、身の回りの自動化された機械やこれからの社会におけるロボットの役割などに触れ、テクノロジーが自分たちの将来に関わることを意識出来る時間とする。
単元における、これまでに実施済みの授業課程:
なし。
今回が初めてのプログラミング授業体験だが、1~2度、Scratch自体には触れている生徒もいた。
指導展開
高知県は、地理上又は産業や人口減少等により、他の県と比べると10年以上早く様々な課題に直面する、「課題先進県」として揶揄されることが多々ある地域です。
そんな中にあって、現在すでに実験・実装されているテクノロジーの動画や説明を受けた上で、実際に自分たちでロボットを制御しながら、生徒児童の数学的・科学的な基礎を育成し、彼らが批判的に考え(批判的思考)、技術や工学を応用して、想像的・創造的なアプローチで、現実社会に存在する問題に取り組めるようにすることにより、将来の可能性と視野を広げる位置付けとして実施いたしました。
導入 | 自分たちの周りにあふれている自動化されたロボットたち(動画) |
展開① | mBotの基本操作 |
展開② | 課題にチャレンジ!三角形や複雑な道順を、長さと角度を考えて制御 |
まとめ | 将来あったらいいなと思う自動化された機械やロボットについてグループワーク、発表 |
【修正】佐喜浜小学校プログラミング実践授業
仕様教材
mBot(エムボット):
makeblock社が教育用に開発したロボット。
スクラッチライクなアプリで制御でき、かつ、各種センサー類も豊富で見た目も良いので使いやすい。
値段が教育用でも「1万円/1台」程度なため、少しネック。

見た目がかわいいので、すぐに人気者となるmBot
mBlock(エムブロック):
mBotを制御するために開発されたScratchベースの無償アプリ。
スクラッチライクな為、一度でもScratchに触れたことのある生徒なら直感的に操作方法が分かる利点が非常に大きい。

アプリの見た目も分かりやすい
※使用教材の技術的な仕様と準備
mBlockとmBotの接続は、授業前に予めBluetooth接続にて絶族完了した状態でセッティングしている。
これは、接続作業そのものを授業中に行うことで大きな時間のウェイトを占めてしまうことを避けた処置。
また、その上で、プログラミングやロボットへの興味関心、アクティブラーニングに重要な自ら学びたいという気持ちを引き出すために、あえて「箱から自分で取り出してもらう」といった、簡単ではあるけれど小さな配慮や仕掛けを授業最中にちりばめた。
実際の授業の様子
授業風景:
徳島からサポートとしてお手伝いを頂いた大学生数人も今回は参加。
地元テレビ局が多く来ている中でも生徒たちは緊張せずにトライ&エラーを繰り返しながら課題に取り組んでくれた。
※動画は、地元テレビ局による実際の放送
※画像は、最後のグループワークにて、自分たちの将来を楽しそうに話し合っている場面。
気付き及び成果:
mBotを利用したプログラミング出前授業はこれまでも県内にて多く実施してきており、mBotを利用した際の効果や利点のノウハウを多く実践できた。
「ロボット=プログラミング」ではないが、ロボットを効果的に活用することで、比較的簡単にPC操作や論理的な思考、自ら学び進める力などを獲得できる土台を生み出せた。
反省点:
教室の「床の素材」は各学校ごとに違う。その為正確なロボットの動きにはならないことがあり、タイヤのついた教材を利用する際にはいつも細心のチェックを行うところとなる。
今回は、それとは別に、床に貼った養生テープ(ロボットのコース用)が思ったよりも摩擦を生み出してロボットの動きを阻害していた。
また、電池での駆動となるが、電池残量によるmBot動作の鈍化に少しだけ悩まされた。
まとめ
mBotという教材は安価ではないが、初期段階でのプログラミング授業や、教員研修時での利用において、非常に「とっつきやすい」教材と考えています。
その気になれば、中学校段階での「双方向通信」の課題にも利用できる機能をデフォルトで持っている為、数あるロボット教材の中では、micro:bitを除いて、飛びぬけて汎用性が高いようです。
なにより、現役教員の先生方にとっても、今後の授業時に利用しやすいところが良いですね。
その他 TV・新聞等メディア
今回も、多くのメディアの方々が来てくださり、生徒へのインタビューや学校長の説明、授業風景などを放映・掲載してくださいました。
遠い中お越しくださりありがとうございました!
▽以下、順不同▽
・NHK
・高知放送
・室戸ケーブルテレビ
Special thanks!!
今回の授業では、徳島からはるばる「NPO法人ひとつむぎ」の皆様がお手伝いに来てくれました。
「ひとつむぎ」は、徳島県南部にある牟岐町を拠点に、教育やまちづくりの支援を通じた地方創生を目指して活動するNPO法人で、教員を目指されている大学生の方にもご参加いただき、県境を超えたご協力をしていただけました(*’▽’)
本当に感謝!

校庭にてドローンから